母は父の事が大好きで、今の時代では考えられないくらい最後まで父に尽くし切って父は日本一幸せだったと思います。
正直子供よりも父のことが一番で、母の行動には子供ながらにおかしいと思う部分もありましたが、私も妹もだんだん大人になっていくとこんなに好きになれる男性と巡り合えたら幸せだろうなと思うようになりました。

父が亡くなった時には母は葬儀中でも人目をはばからずにずっと泣いていて、その後もしばらく立ち直れないでいて、ようやく普通にご飯も食べられるようになって今後のことを話し合いましたが、長男である弟にもすでに嫁いでいる私たちにも迷惑をかけることはなく、父との想い出の詰まった府中市の家に最後まで一人で住み続けると言って弟の同居の誘いも断りました。

それからは母のことが心配なので三人で話し合って必ず毎月最低一回は母の様子を見に行くことを決めて情報交換もしていましたが、先日妹が実家に戻ると母が胸を抑えて倒れ込んでいるのを発見して、すぐに救急車を呼んで病院に搬送したと連絡がきました。
仕事中でしたが早退してすぐに府中市内の病院に駆けつけると、一命は取り止めていましたが父と全く同じ病気あることが分かり、先が短いことを医師から説明を受けました。
母はショックを受けると思いましたが父のところに行けるし死に方も一緒だと本気で喜んでいるように見えて、私たちは改めて強い夫婦愛を思い知らされることになりました。